お知らせ

中村浩著「成蹊教育 その源流と展開」

成蹊学園創立90周年記念事業の一つとして、中村春二先生のご子息・浩氏著の復刻版

「成蹊教育――その源流と展開――」

が、「記念式典」「祝賀会」の参会者全員に配布されたことは大変喜ばしいことであった。

加藤専務理事(成蹊学園将来構想検討委員会委員長)は「復刊に寄せて」を以下のように記している。

本書は、中村浩著「成蹊教育――その源流と展開――」(岩崎美術社、1971年)を復刊したものである。発行者を学校法人成蹊学園にし、成蹊教育史年表を補ったこと、及び若干の誤植を訂正したことを除いて、変更は一切ない。本書を再刊したいとのわれわれの希望に快く応じて下さった岩崎美術社と著者の御遺族とに対して、心からの謝意を表させていただきたいと思う。
本書の刊行に至った経緯は以下の通りである。
成蹊学園では、この何年か、特に「成蹊学園将来構想検討委員会」を中心として、二十一世紀における学園のあるべき姿に関する多くの議論が積み重ねられてきた。その中で自覚された最大の問題は、人格の陶冶・個性の尊重を中核とする創立者中村春二先生の教育理念を、将来にわたってどう引き継ぐかであった。一世紀近く前に遡る学園創立時とは時代環境が一変し、また、成蹊教育の担い手の世代交代が激しく進む中で、学園初発の理念を継承し、必要な変更を加えつつそれを発展させることがいかに困難であるかはあまりにも自明であったからである。
一つの解決策は、学園関係者が、成蹊教育の原点とその歴史的展開とを改めて想起することに求められた。過去を正確に認識することなしに未来を展望することができないことも、また自明であるからである。中村先生のもっとも身近で過ごされた御子息の浩氏が成蹊教育の源流と展開とについて簡潔にまとめられ、先生の最大の理解者の一人であった戦後最初の東大総長南原繁が序を寄せた本書は、そうした切なる希望を込めて再刊された。本書が、学園関係者にとって、日本の教育史に独自の位置を占める成蹊教育に関する共通理解を深め、将来への指針を得るための一助となることを期待したい。

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