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成蹊大が高分子膜開発-工・樋口亜紺教授ら

造血幹細胞 血液から高純度分離 成蹊大が高分子膜開発

成蹊大学工学部の樋口亜紺教授らのグループは、血液中に含まれる細胞を高純度で分離できる膜を開発した。高分子の膜に血液を流し込み膜に固定化した多数の官能基と反応させて抽出する手法で、高コストな遠心分離なしに血液含まれる造血幹細胞の75%を分離することに成功。さまざまな細胞のもとになる幹細胞を血液中から高純度で取り出す必要がある再生医療向けの材料として、早期の実用化を目指す。
新開発の膜は、直径2・5センチメートル、厚さ0・5ミリメートルの高分子ポリウレタン発泡体を使用。内部は孔径約5マイクロメートルの多数の孔が入り組んだ構造でアミノ基やカルボキシル基、スルホン酸基といった血液中の特定の細胞と反応させるための官能基を固定する。
さまざまな官能基を吸着させた膜にヒトの末しょう血を流し込み、造血幹細胞の透過性を調べた。その結果、カルボキシル基を導入した膜を使った場合の分離効率が最も高く、内部に浸透させた後、アルフミン溶液で膜表面に残った成分を洗い流すと75%の造血幹細胞を回収できた。骨髄や末しょう血に含まれる造血幹細胞を分離する方法としては、磁気ビーズを目的の網膜の抗体に付け、磁石で他の細胞から分離する磁気ビーズ法がある。だが、装置が1台1000万円以上と高価なうえ、操作が煩雑なのが難点だった。
一方、新開発の膜は安価に作製できるほか、血液を流し込むだけで簡易に分離できる。細胞により異なる膜の透過性に応じて、透過性が低い細胞は膜表面から直接回収し、透過性が高く膜内部に浸透した細胞は膜表面に残った他の成分をアルブミン溶液で洗い流した後、回収するといった具合に分離方法を使い分けられるのも特徴だ。
再生医療では、特定の細胞や組織を作り出すための材料として、さまざま細胞に分化する幹細胞を生体内の組織から高純度で抽出する必要がある。同グループでは、官能基の量や種類など最適な条件を調べたうえで2年以内にも実用化する考え。

日刊工業新聞 2003年8月26日 朝刊一面
(日刊工業新聞社の転載承諾済)

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