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自動車会社副社長から成蹊中・高校長 谷 正紀さん (60)

たに・まさのり

昭和17年10月29日、名古屋市生まれ。成蹊大学工学部卒、米国カリフォルニア州立大学修士課程(工学)修了。三菱重工業入社後、分社に伴い三菱自動車工業に。自動車の先行技術開発、電子技術開発に続き、商品マーケティング、開発取りまとめなども行い、平成13年から副社長。今年6月に退社し、武蔵野市に移り住んで7月から母校の
成蹊中・高校長に就任した。

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体験重視の教育に意欲

「講師として大学生は教えてきたが、もっと若い世代は初めて・・・」。
民間から初めて成蹊中・高校長に就任した。とまどっている時間はなく、七月一日の着任後、同月中旬にはさっそく中学二年生が長野県で四泊五日の体験学習をする「夏の学校」に参加した。
「途中から加わったらいきなり登山を体験。無事登ることができ、生徒に冷やかされなくてよかった」とほっとした表情。一方で「生徒は自然を体験しつつ、キャンプファイアーなどで友達と連携し、とてもよい勉強になった」とは早くも教育者の顔になっていた。
成蹊高、成蹊大工学部機械工学科を卒業しており、生徒らにとって“大先輩”。三菱自動車工業副社長、生産統括本部長として世界各地の乗用車生産を指揮してきたが、「民間企業で培った経験や広い視野を中高生教育に生かしてほしい」と請われて校長に就任した。
ただ母校には「自動車工学」の非常勤講師として、昭和五十三年から毎年九~十二月の毎月一、二回来校していた。「学生なら自分の責任で勉強すればよく、『聴きたくなければ出ていってよい』といえたが、中高生にはそういえないのが大変なようだ」。担当教諭から中高生の状況を聴き、“違い”を埋めることから仕事が始まった。
「中高生時代は個人の資質を伸ばす時期」とみている。最近は長崎県の男児誘拐殺人事件など子供絡みの事件も目立つが、「成蹊では伝統的に人間関係をうまく作れるように『夏の学校』や部活など体験学習を重視してきた。こうした教育を今後も続け、生徒の資質も伸ばすことができたら」。
自らの“専門”に近い理科科目ではさらに体験を重んじる。「物に触れて現象を見て驚くという『科学する心』が大切。教師には負担を恐れずに実験などを行ってもらい、その環境を整えるのが校長の役割」と話す。
二学期からはホームルームの時間を利用して生徒に語ることも予定しており、「“専門”の話もわかりやすく伝えていきたい」と意欲を燃やしている。

(花岡文也)

産経新聞 2003年8月21日 朝刊22面
(産経新聞社の転載承諾済)

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