お知らせ

100周年記念事業について(御報告とお願い)

成蹊学園将来構想検討委員会委員長
成蹊学園専務理事 加藤 節



皆様にはいつも成蹊学園のためにさまざまな御協力を賜り、心から御礼を申し上げます。
さて、私どもは、先般、「新成蹊創造プラン」の名の下に学園創立100周年記念事業に着手いたしました。その進捗状況について皆様に御報告し、併せて、学園に対する一層の御支援をお願いしたいと存じます。
今回の記念事業は、長い伝統の上に築かれてきた成蹊学園の声価をより確固としたものにして、学園の社会的競争力を飛躍的に強化することを大きな目的にしております。そうした視点から、私どもは、まず、本年4月に、学園を挙げて国際理解能力とコミュニケーション能力とを育成し、多面的な国際交流を推進するための学園縦断的な機関として「国際教育センター」を開設いたしました。全国でも例のない同センターの設立によって、戦時下でも英語教育を絶やさず、早くから「国際学級」を開設する等、国際化に積極的に取り組んできた成蹊学園の評価を更に高めることができると考えております。
また、小学校では、全国の私学に先んじて、2005年度から段階的に30人学級制に移行することにいたしました。学園創立者中村春二先生以来の少数教育の理念に忠実に30人学級制を導入することによって、児童一人一人がもっている豊かな個性を引き出す行き届いた教育が今まで以上に可能になるものと期待しております。
中学・高等学校においても、現在、中高一貫化の強化を柱とする将来構想の策定作業が精力的に進められております。そこでもまた、確かな学力と幅広い教養との習得を可能とする一貫した教育体制のなかで、生徒一人一人が自分の個性や資質を自ら発見する機会を作り出すことが目指されています。
「個性をもった自立的な人間の創造」を目指すこうした教育面での改革に併せて、小学校、中学・高等学校ともに、新しい教育体制に見合う校舎の親築を予定しております。その場合にも、成蹊学園の豊かな自然環境と落ち着いた雰囲気とにマッチした美しい建物を建てようと考えております。
更に、大学では、情報化時代にふさわしいインテリジェント機能を備えた図書館を新築することを決定し、現在、成蹊出身で国際的に活躍されている建築家坂茂氏の御協力をいただきながら、2007年度の開設をめざして準備が進められております。新しい時代にふさわしい新図書館が、卒業生や学園関係者だけではなく、地域に対しても開かれた「知の拠点」となることを期待したいと思います。
大学にとって、図書館の新築と並ぶもう一つの大きな施策は法科大学院の開設です。法曹養成の従来の実績が必ずしも十分ではないこと、財政的負担が大きいことを理由に法科大学院の開設を危ぶむ声もありましたが、競争倍率日本一という高い評価を得て、本年4月に無事開設にこぎつけることができました。学園としましても、法科大学院の成功が成蹊大学全体の社会的評価の向上につながることに鑑みて、今後とも法科大学院の強化に努めたいと思っております。 
このように、新たな成蹊学園を創造しようとする意図の下に始められた学園開設100周年記念事業は順調に進捗しております。しかし、その事業をより確実な軌道に乗せるためには、財政基盤の更なる強化が不可欠であります。その点に配慮して、学園は、この数年、人件費を中心とする支出の縮減や基金の積み上げ等、記念事業を着実に実施するための財政的な措置を積極的に講じてまいりました。
しかし、少子化や補助金の削減を背景に学園の帰属収入が逓減傾向に入っている現在、学園独自の努力に限界があることも事実であります。そうした判断に立って、私どもは、開学100周年に向けた募金事業を始めさせていただきました。現在までに、三菱金曜会や学園に関連する企業からの御協力をいただいておりますが、目標額を達成することは困難な状況がなお続いております。そこで、厳しい経済状況の折に誠に心苦しい限りではありますが、学園の財政基盤の強化のために是非とも皆様に募金事業に更なる御協力をいただきたく、伏してお願い申し上げる次第でございます。


成蹊学園広報第53号より

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