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工学部長に就任して(若林功 教授)

工学部長に就任して
21世紀を築く人材育成を目指して

若林 功



この度、河田燕前工学部長の後を受け、工学部長に就任いたしました。私は、成蹊大学には平成六年に着任いたしました。未だ日浅き身ではありますが、諸先輩方のたゆまぬ努力の下に築きあげられてきた、長き良き伝統を持つ、このすばらしい成蹊学園、並びに成蹊大学工学部の一層の発展に、微力ながらできる限りの努力を致すつもりでおります。
二十一世紀も始まったばかりです。この世紀をより良い世界、より良い社会にしていくために、科学技術の果たすべき役割は益々大きくなっていくことでしょう。その進歩発展は大きな期待をもって待たれています。国も、科学技術立国を掲げ、科学振興のために、科学技術基本法を作り、予算も増やし力を入れ始めています。これからの日本の発展のためには、絶えず新しい技術を開発し、高い技術に基づいた高品質の製品を作っていくことが求められています。また一方、環境問題、食料問題、エネルギー問題ほか、さまざまな困難な問題も生じています。
解決を迫られているこのような問題に対して、科学技術に求められている役割は非常に大きいと思います。この世紀は、一方では、人に優しい科学技術が求められることでしょう。
工学部においても、このような時代の要請に応えられる研究活動を行って行くと共に、教育面においては、二十一世紀を荷い築きあげていく人材を育て、世に送り出していくことが、私たちの使命と考えます。そしてこれこそが、工学部が世に貢献できる道であると考えます。
このためには、充実した教育を行うための改善を行っていかねばなりません。わずかなことかもしれませんが、今年度は、一年生の理数科目において、到達度別クラス分けを行い、学生のレベルに合わせたよりきめ細かい教育を行うことを開始いたしました。より良い教育を行うために今後もあらゆる努力をしていくつもりです。
研究教育設備の面でも水準の維持に努めて参りましたが、これまでは、建物は基本的に従前通りのままであったため、スペースに対する要望には切実なものがありましたが、この解決策として、かねてから念願でありました工学部新棟が、成蹊学園によりましてこの二月に大学十四号館としてめでたく竣工いたしました。この建物は、学生が、安全で広い環境の下で十分に実験実習が行えるようにとの願いから、一階から五階まで、ほとんどの部分が学生のためのスペースを持った実験実習室からなる実験棟であります。一階には全学の学生に開放された広いパソコン教室もあります。この四月からこの実験棟の使用が開始され、教育環境は飛躍的に改善され、私たち工学部は誠に嬉しく思っております。
今後、内容も充実させ、最大限に活用していきたいと思っております。またこれにより、今まで手狭であった研究室のスペースの改善も可能になり、今年度から二ヵ年計画で旧棟の再整備が始まります。
「好きこそものの上手なれ」の諺にもあるように、どんな学習においても、興味を持つことが、最も重要です。私たちも、学生が学問に興味を持ち、自ら進んで学びチャレンジしていく精神を持つような教育を行っていきたいと思います。教育研究の環境を整え、工学部の一層の発展にできる限り努める所存でございます。

若林教授 略歴

1965年 東京大学理学部数学科卒業
1967年 東京大学大学院理学系研究科
     数学専攻修士課程修了
1977年 東京農工大学工学部助教授
1991年 東京農工大学工学部教授
1994年 成蹊大学工学部教授
2002年 成蹊大学工学部長
     成蹊大学工学研究科長

2000年 第5回成蹊会学術賞受賞
専門分野 整数論

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