会長挨拶

会長挨拶


私は、太田克彦と申します。6月21日の定時代議員総会と理事会で成蹊会会長に就任いたしました。お話をいただいた時には、歴代会長や先輩方を思い出し、自分が果たして相応しいかどうかと自問自答して参りました。この重責をお引き受けする以上は「会員相互の親睦」と「母校の後援」という二つの目標を実現できるようにできる限りの努力をして参るつもりですので、皆様の協力をどうぞよろしくお願いいたします。
・自己紹介
 はじめに、私の自己紹介をさせていただきます。
 私は、昭和35年に成蹊小学校に入学し、成蹊中学、成蹊高等学校と成蹊学園に学びました。中学高校時代はバスケットボール部で仲間と一緒に汗を流しました。その関係で成蹊籠球会の世話役をしております。また、水泳師範として高校から大学に掛けて6年間を波佐間の海で小中学生と過ごしました。「年上の生徒が年下の生徒を指導する」という慣習は成蹊の創立者中村春二先生の教育理念から始まったものと聞いています。私も子供たちと一緒に過ごすことで自分自身の成長を実感しました。高校3年次には豪州カウラ高校へ約1年間派遣され、得難い経験もさせていただきました。当時は戦後まだ25年しか経っていませんでしたので、級友の中には親から「日本人と口をきいてはいけない」と言われている、とささやいてくれる人もいて衝撃でした。また、カウラ高校の近くの丘の上に、カウラ事件で命を落とした日本人捕虜234人の墓地がありました。そこにたたずむと、戦争の惨禍を繰り返してはいけないとの思いに突き動かされました。
 成蹊で過ごした13年間は私の人間形成に大きな影響を与えてくれました。また多くの尊敬する師や生涯の友人と出会いました。大学卒業後は製造業に就職し忙しく働きましたが、成蹊の仲間との交流は一番の心の安らぎでありました。
・成蹊会の活動
 成蹊会は、高井前会長のリーダーシップで「母校成蹊の名を高める」というスローガンを定めて活動をしてきました。会員数は今や11万人となり、来年には90周年の節目を迎えます。活動は多岐にわたっており、一般社団法人に移行してからは、公益事業としての育英奨学、スポーツ振興、学術・教育支援、国際交流支援などを着実に実行してまいりました。同窓会活動としては、成蹊桜祭、学校・学部同窓会、卒業周年同窓会に加えて、地域成蹊会の活動を支援しています。他に、成蹊会誌の発行と成蹊倶楽部の運営という会員へのサービス事業も行っております。私も委員会活動に20数年間携わってきましたが、幅広い世代の会員が熱心に活動に参加しています。この場をお借りしてお礼を述べさせていただきます。
・成蹊学園の動き
 さて、ご承知のように、日本の少子化は深刻な状況で、昨年の出生者はついに70万人を下回りました。ベビィブーマー世代と比べると実に三分の一以下です。私立大学の6割が定員割れと言う数字が示すように、学校間の競争が一層厳しさを増すのは明らかです。こうした中、成蹊学園はその特色を活かす施策を次々と実行しています。例えば、昨年は理工学部校舎の新設とコモンズの開設、来年は念願の国際共創学部の立上げと国際学生寮の建設着手、また大学と中高の総合体育館の建設も決定しています。一方で、成蹊ブランドの発信に力を入れ、吉祥寺駅には創立者中村春二先生の教育理念を表した成蹊の大宣伝ポスターが掲示されるようになりました。
・当面の活動目標
 成蹊会としても、こうした学園の動きと同調し、「母校成蹊の名を高める」活動を継続していきたいと思います。具体的には、公益事業として実施している、「育英奨学金の給付・貸与」、「スポーツ振興」、「学術・教育支援」事業については、時代の要請に合致しているかどうかを点検し、さらに有効な活動に発展させていきたいと思います。
 同窓会活動についても積極的に支援していきたいと思います。一つは、大学同窓会の活動の支援です。コロナ禍で同窓会活動を自粛せざるを得なかった結果、昨年は10年と20年同窓会の開催ができませんでした。卒業年次委員会の結成と活動を支援し、卒業生が人生の節目で旧交を温め母校に思いを馳せる機会を確実に作れるように支援します。
  二つ目は地域成蹊会の振興です。今年も成蹊大学には41都道府県からの入学者がいました。一方で地方成蹊会は高齢化が進んでいます。地方出身の学生の情報を地域成蹊会が共有できれば、地域における人脈ができ一体感が深まるはずです。
  三つ目として、グローバルな成蹊会活動が拡大するように支援する事です。海外で活躍するOBOGは、帰国後にはグローバルな視点を成蹊会にもたらしてくれることを期待します。
  四つ目は他校では例がある職域成蹊会について、その支援の在り方を検討したいと思います。
  会員へのサービス事業は、まず、成蹊会ホームページの利便性向上や広報誌のデジタル化の検討に加えて、昨年導入された「生涯メールアドレス」も活用して「今の成蹊の情報」をタイムリーに発信していきたいと思います。また成蹊倶楽部についてはあるべき姿について検討を継続します。

  以上、風呂敷を広げましたが、理事会を活性化して活発に議論し進めて参りたいと思います。また、実行目標と実現時期を会員の皆様にもできるだけ明らかにしていきたいと思います。その過程で皆様の意見も広くお聴きし、ご協力をいただきながら進めて参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 
  創立者の中村春二先生は、実務学校第1回の卒業に当たり、処世七則を卒業生一人ひとりに渡しましたが、その第七則には「後輩の続き来ることを思へ」とあります。 この言葉を胸に精一杯努力して参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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